頼む先は四種類、品目は「持ち帰れるか」で決まる
頼む先は、大きく四つに分かれます。同人の印刷所は、紙ものや冊子に強いところ。ネットの印刷通販は、決まった仕様のなかから自分で選んで入稿する形。グッズ制作の業者は、アクスタや缶バッジのように形のあるものを作るところ。四つめが、窓口ひとつで受けて、品目選びからデータ作りまで一緒に進める相手です。仕様が決まっていて自分で入稿できるなら、前の三つに直接頼むのが早い。うちに聞く必要はありません。
グッズ作戦室は、グッズを作りたい個人の相談を窓口ひとつで受けます。うちはこの四つめです。
物販卓のグッズは、その場で手渡して、お客さんが会場から持ち帰るものです。効いてくるのは絵柄でも人気でもなく、渡してから帰宅までに壊れないかどうか。かさばらないか、折れないか、濡れても平気か、袋に入るか。
小さくて軽く、何枚でも持ち帰りが崩れない。中身が外から見えないので、卓で収録内容を見せる手当てが別に要る。
軽くて薄いが、折れと擦れに弱い。袋と当て板(折れないように挟む厚紙)まで含めて一つの品目と考える。
立つので卓での見せ方が強い。反面かさばり、角が欠けやすい。
丈夫で、濡れても致命傷になりにくい。
屋外や半屋外の会場なら紙ものが一番弱いので、初回は壊れにくいものと卓の見え方をつくるものを一つずつで回ります。
ROM・ブロマイド・アクスタ、発注で引っかかるのはどこか
ROMで止まるのは、作り方より先に「何の形で渡すか」です。ディスクに焼くのか、データで渡すのか。ディスクなら、盤面(ディスクの表面に刷る印刷)とケースが別に要り、中身が写真だけか動画も入るかで用意するものも変わります。中身が固まらないまま盤面だけ先に進めると、刷り直しになります。中身と渡し方が決まっていれば、ROMは発注としては重くありません。
ブロマイドで決めるのは、紙と仕上げです。光沢か半光沢かマットか、フチ(写真の周りに残す余白)をつけるかつけないか、表面に加工をかけるか。写真の雰囲気で選んでいいけれど、卓では条件が一つ増えます。その場でサインを書くなら、ペンがのって乾く紙でないと使えません。光沢の強い紙はインクが弾かれて、指で触ると流れます。
アクスタは、外形と抜き(写真をどの輪郭で切り抜くか)の決め方です。輪郭をぴったり追うと、髪の毛先や小物の細い部分が折れやすくなります。台座の位置と幅、立ったときのバランスも外形とセットです。白版(透明な部分の裏に白いインクを敷いて絵をはっきり見せるもの)をどう入れるかも、ここで決まります。
白版の設定、抜きの詰め、紙の厚みは、頼む先が決めるので覚えなくていいものです。答えを用意しておくのは、どの写真を使うか、何の品目にするか、サインを書くか、いつ渡すか。データがない段階から、グッズの発注を丸ごと任せることもできます。
冊子にしたい場合は、ページ数、綴じ方、表紙の紙と、決めることが増えます。中身の量がそのまま形に出るので、決まるまでの往復のぶんの日程が取れるかで、ROMと分けます。
作る前に確かめること
確認は三方向ですが、同じ重さではありません。
- 撮影者必ず確認する。ここだけは省けない。
- スタジオ撮影データの扱いを決めて公開しているところがあります。まず自分で読み、書いていなければ聞く。
- 衣装自作か購入なら不要。借りているときだけ、貸し主に確認する。
撮影者に送る文面は短くていい。「◯月に撮っていただいた写真を、来月のイベントでブロマイドにして頒布したいのですが、可否をうかがえますか」。使う品目と、売る場を書けば足ります。返事が来なかった写真、断られた写真は使わない。取れた写真だけで卓は組めます。
うちが作れるものの線も書いておきます。自分が写っている写真、自分で用意したデザインなら作れます。ROMもブロマイドもアクスタも、ここに入ります。扱わないのは、既製のデザインが入った品物と、よそのキャラクターが関わるものです。「ROMとブロマイドを作りたい」は、そのまま相談の中身になります。
写真を物にすると、画面の色のままにはならない
画面は光で、紙は反射した光で色を見せるので、画面で見ていた色と刷り上がった色は違います。色の判断は、手元に届いた実物でします。
うちは、本発注の前に必ずサンプルを取ります。頼む先を選ぶときも、実際に使う写真やデザインを載せたサンプルを取れるかどうかを見ています。何も入っていない状態ではなく、載せた状態で刷ってもらい、それを見てから量産に進む。この順番を崩さないので、数を決めるのはサンプルを見たあとになります。
もう一つ、刷る回を分けると、色味に若干のばらつきが出ます。同じデータ、同じ仕様でも、回が違えば完全に同じ色にはなりません。追納(あとから追加で刷ること)したぶんは、最初のぶんと並べると差が見えます。再販を考えているなら、最初に一度で刷っておいたほうが揃います。
差が出やすいのは、肌の色、黒、濃い色です。肌は少し転ぶ(色がわずかにずれる)だけで印象が変わり、黒は沈み方で締まり具合が変わります。コスプレの写真はこの三つがだいたい入るので、サンプルでは、まず肌と黒をどう見るかを決めておくと早いです。
届いたものを誰が検品するかも、先に決めます。色が想定どおりか、傷や欠けがないか、数が合っているか。本人が見るのか、手伝ってくれる人に頼むのか、届いたその日に開けるのか。ここが決まっていると、卓の朝が静かです。
相談はダイレクトメッセージで、一往復で金額が出る
相談はInstagramのダイレクトメッセージで、文章だけで進みます。電話や対面はありません。聞くだけで見送っても構いません。品目と数と日程が書かれていれば、その返信で金額と、間に合うかどうかを返します。予算が決まっているなら、その額を先に書いてもらえれば、その中で組める案を返します。うちが最初に聞くのは、この五つです。
- 何を作るか品目。決まっていなくてもいい。
- いつのイベントか日付が決まっていれば、そこから逆算して答えられます。
- イベントで売るのか、通販もするのか渡し方で、向いている形が変わります。
- どのくらい作るか感覚で構いません。
- 写真やデータが手元にあるか無くても相談できます。
このうち固まっていなくていいのは、品目とデータです。品目は持ち帰りの条件から一緒に決められますし、データもこちらで作るところから入ります。一度に作る数の最終決定は、サンプルを見てからになります。決まっていなくていいことと、決まっていると早いことは、相談のとき、決まっていなくていいこと・決まっていると早いことにも書いてあります。
残りがどれだけ少なくても構いません。まず日程だけ投げてもらえば、間に合うかどうかから答えます。そのままでは届かないときは、品目を変えて間に合わせる選択肢が出ます。無理なら無理と、その場で答えます。うちは作る側の希望に余裕を足して日程を出すので、答える日程はぎりぎりの線より長めになります。早い段階で相談してもらえれば、そのぶん選べる幅が残ります。
送る一文目は、これくらいで足ります。予算の上限が決まっているなら、その額も一緒に書いてください。「はじめまして。◯月◯日のイベントで、初めて卓を出します。ブロマイドを◯枚くらい考えていて、写真は手元にあります。予算は◯◯までです。金額と、間に合うかだけ教えてください。」