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周年・生誕祭で配るもの|幹事が最初に決めること

周年か生誕祭の日付はもう決まった。あとは何を配るか、いくつ作るかが、まだ決まっていない。検索しても出てくるのは、式典向けの商品棚か、当日の飾り付けの準備リストばかりだった。このページにあるのは、発注する側であるあなたが、今日から動くための段取りだけです。

決まっているところだけで、一度聞いてみてください。

日付と、だいたいの人数。その2つがわかれば話は進みます。

配るものは、ひとつじゃない

周年や生誕祭の当日、あなたが手配するものは、たいてい3つに分かれます。同じ1日の中で、3つが同時に走ります。

ひとつめは、来た人全員に無料で渡すものです。入口で配るステッカーやポストカード、記念のカードなどがこれにあたります。渡す相手は「その日そこにいた人」で、数の基準は来場者数です。足りないと、その場で並んでいる人の前で止まります。当日いちばん事故になりやすいのはここです。

ふたつめは、会場で売るものです。アクリルスタンドや缴バッジ、Tシャツのように、買った人だけが持ち帰ります。渡す相手は「買った人」で、全員ではありません。ここは足りないより、余ったときのほうが痛みます。売れ残りは箱のまま、誰かの家に残ります。

みっつめは、関係者や当選者だけに渡すものです。出演した人、手伝ってくれた人、花やお祝いを贈ってくれた相手、抽選や条件を満たした人。数は少なく、そのかわり名前を入れたり、箱に入れたりと、ひとつずつの扱いが重くなりがちです。渡す場所も入口ではなく、終わったあとや、人の少ないところになります。

この3つは、数の数え方も、締切も、渡す場所も、渡す人も違います。だから「グッズを作りたい」とひとまとめで相談すると、話がどこにも着地しません。法人向けの記念品カタログに並んでいるのは、だいたいみっつめだけです。当日準備のハウツー記事に書いてあるのは、飾り付けと進行の話で、何をいくつ発注するかは出てきません。あなたが今いるのは、その2つのあいだです。

先に決めてほしいのは、相談したいのがこの3つのうちどれか、ということだけです。3つ全部でもかまいません。ただ「全部」と言うときも、頭の中では3つに分けたまま持ってきてください。それだけで、数の話も日程の話も、まっすぐ進みます。

当日に手配するもの、3つの分かれ方 ① 全員に配る ステッカー、ポストカード、記念のカード 数の基準:来場者数 足りないと、その場で列が止まる ② 会場で売る アクスタ、缶バッジ、Tシャツ 数の基準:買う人の数 余ると、箱のまま手元に残る ③ 関係者・当選者に渡す 名入れ、箱入り、1点ものに寄りやすい 数の基準:枠の数 数は少ないが、1つずつの手間は重い
図1:同じ1日の中で、3つが同時に走る。数の基準も、渡す場所も、それぞれ違う。

配布日から逆算すると、今日は「あと何工程目」か

配布日までの道のりは、順番が決まっています。デザイン確定、サンプル確認、本発注、生産、検品、納品、そして配布日。この順番は飛ばせません。飛ばすと、飛ばした分がどこかで返ってきます。

大事なのは、日数よりも「どこに余白を置くか」です。余白が要る場所は2か所あります。

ひとつめは、サンプル確認と本発注のあいだ。サンプルは、見て終わるためのものではありません。見て、直すかどうかを決めるためのものです。色を変える、ロゴの位置を下げる、素材を替える。その判断と、判断を通す時間がここに要ります。ここをぴったり詰めてしまうと、サンプルを取る意味がなくなります。見たけれど直せない、という状態になるからです。

ふたつめは、生産と検品のあいだ。検品は、問題を見つける工程です。見つけたあとに何もできないなら、それは報告であって検品ではありません。刷り直す、交換する、あるいは配布の仕方を変える。その余地を後ろに残しておく必要があります。

もうひとつ、工程表に書かれないのに時間を食うものがあります。承認の往復です。実行委員で決を採る、ご本人に見せる、所属先に通す。誰の「いいです」で先へ進むのかを、デザインに入る前に決めておいてください。この承認者が決まっていないと、どの工程も止まる理由になります。

そして、早い工程ほど巻き戻しが効きます。デザイン段階でやり直すのは、画面の中の話です。サンプル段階でやり直すのは、サンプル1つ分の話です。生産が始まってからやり直すのは、全部の話になります。今日あなたがどの工程にいるかを確かめてほしいのは、そのためです。まだデザインが固まっていないなら、それは遅れではありません。いちばん軽くやり直せる場所に立っている、ということです。

配布日からの逆算と、余白が要る2か所 デザイン確定 やり直しがいちばん軽いのはここ サンプル確認 ここに余白が要る 直すかどうかを決めて、通すまでの時間 本発注 生産 ここに余白が要る 見つけたあとに、刷り直す・替える余地 検品 納品・搬入 ゴールは配布日ではなく、その手前 配布日(ここが起点)
図2:日数ではなく順番と余白の図。配布日から逆に数えて、今日がどこかを確かめる。

何個作るか。来る人数からの3つの数え方

数の決め方は、配るものの種類によって変わります。大きく3つです。

  1. 全員配布型来る人数がそのまま母数になり、そこに予備を乗せます。予備は、割れたり折れたりした分、撮影や記録に使う分、終わったあと手元に残しておく分です。乗せる量そのものより、当日「予備を出すかどうか」を誰が判断するかを先に決めておくほうが効きます。判断する人がいないと、予備は箱から出ないまま終わります。
  2. 抽選・条件配布型来る人数のうち、一部だけが対象になります。当選した人、条件を満たした人、先着の人。母数は来場者数ではなく、枠の数です。気をつけるのは、枠を先に決めてから発注するのか、作れる数から枠を決めるのか、どちらでいくかです。順番が逆になると、当日のアナウンスを書き換えることになります。
  3. 多層型品物を層に分ける作り方です。全員に渡す軽いものを1層目、買った人に渡すものを2層目、関係者や当選者に渡すものを3層目、というように分けます。層ごとに母数が違うので、それぞれ別に数えます。周年や生誕祭でいちばん現実的なのはこの形です。1種類で全員を満たそうとすると、数が膨らむか、内容が薄くなるかのどちらかになります。

迷ったら、来る人数を1つの数字で出そうとせず、「確実に来る人」「たぶん来る人」「当日ふらっと来るかもしれない人」の3段に分けて書き出してみてください。全員配布型なら上2段を足した数が起点になりますし、売るものなら、その数の中で実際に財布を出す人はさらに絞られます。1つの数字で決めようとすると、強気と弱気のあいだで止まります。

個数の3つの数え方 型 母数にするもの 乗せる・引くもの 全員配布型 来場者数 + 予備(破損・記録用) 抽選・条件 配布型 枠の数 来場者数は使わない 多層型 1層目:全員 2層目:買った人 3層目:関係者 来る人数は「確実に来る/たぶん来る/当日ふらっと」の3段に 分けて書き出すと、1つの数字で止まらずに済みます。
図3:型が変われば、母数が変わる。自分がどの型で考えているかを、相談の前に決めておくと早いです。

お金の話は、何で決まるか

先に正直に書いておくと、このページに金額は載せていません。同じ品物でも、数と仕様と作り方で動くので、代表的な数字をひとつ置くと、それが基準として独り歩きしてしまうからです。かわりに、見積もりを見たときに何を見ればいいかだけ書いておきます。

値段を作っているのは、だいたい4つです。本体(何に刷るか)、加工(印刷や名入れの手間)、版や型(最初の1回だけ必要になるもの)、運ぶ費用。このうち数で割れるのは版や型だけで、あとは基本的に個数に比例します。だから、たくさん作るほど1つあたりは下がりますが、下がり方は品物によって違います。少なく作るほど、版や型の分がひとつずつに重くのしかかる、という言い方のほうが実感に近いと思います。

有志でお金を集める場合は、集める前に「何を・何個」を決めてください。逆をやると、集めた額に合わせて仕様を削ることになり、あとから説明するのが一番しんどい形になります。見積もりを先に取って、そこから一人あたりを割るほうが、説明も集金も楽です。金額が動く可能性がある項目(数が変わる、名入れを足す、色を増やす)は、集める時点で先に共有しておくと、あとで揉めません。

支払いをいつ行うかは、品物と数によって変わるので、相談のいちばん最初に決めます。ここを曖昧にしたまま進めると、集金の締切が決められず、実行委員の中で話が止まります。聞きにくいことではないので、こちらから先にお伝えします。

名前や絵を入れる前に、確認しておくこと

周年や生誕祭の配布物は、たいてい誰かの名前か、誰かの絵が入ります。ここだけは、デザインより先に確認してください。

推しの写真、ロゴ、公式のビジュアル。これらはたいてい、ご本人か所属先のものです。ファン有志で用意する場合、「応援のためだから大丈夫だろう」と進めてしまいがちですが、確認が取れていないと、作る側もその仕事を受けられません。うちがこの場面で必ず聞くのはそこです。判断が要る話なので、ここで白黒を断じることはしません。確認する先が分かっているなら先に当たる、分からないなら分からないと言ってもらう。それだけで進め方が決まります。

もうひとつ、見落とされやすいのが「身内の絵」です。有志のメンバーが描いた絵、誰かが撮った写真、去年の配布物のデザイン。人数が多いほど、誰が作ったものか曖昧になります。描いた人・撮った人に、物にして配ることまで含めて確認してください。「見せていい」と「配っていい」は、別に聞く必要があります。売る場合はもう一段別の話になるので、そこも分けて聞いてください。

なお、うちが扱うのは、無地の商品に、あなたが用意したロゴやデザインを入れるものだけです。すでにデザインが載っている既製品や、他の会社のキャラクターが入ったものは扱っていません。入れたい絵やロゴが手元にある、あるいはこれから用意する予定なら、話はそのまま進みます。どこまで任せられて、どこは自分で決めるのかは、別のページに分けて書きました。

つまずくのは、だいたいこの3つ

① 色が思ったのと違う

画面で見ていた色と、現物の色は一致しません。モニターは光で色を出し、印刷物は光を反射して色を出すからです。さらに、下地の色が透ける素材か、白を先に敷けるか、印刷の方式は何か、でも変わります。推しのイメージカラーのように「この色でないと意味がない」ものほど、ここでずれます。

逃がし方はひとつです。うちでは、本発注の前に必ず現物のサンプルを取ると決めています。画像でのやりとりだけで本番に進むことはしません。そのうえで、サンプルを見る人をあらかじめ決めてください。その色をSNSに出す人、その色を見ていちばんがっかりする人に近い立場の人が見るべきです。見る人が決まっていないと、届いたサンプルは机の上に置かれたまま時間だけが過ぎます。

② 間に合わない

間に合わない理由は、たいてい生産そのものではありません。承認の往復と、データの差し戻しです。文字がアウトライン化されていない、解像度が足りない、指定できない色数になっている。そのたびに1往復増えます。もうひとつ見落とされるのが、配布日の前に搬入日がある、ということ。会場に入れる日、宅配で受け取れる日、前日に袋詰めする日。ゴールは配布日ではなく、その手前にあります。

逃がし方として、うちでは納期の答え方を決めています。作る側が出してきた希望の日数に、2週間足してお客さんに答える。この2週間は、いま書いたような往復に当てるための分です。ぎりぎりの日程を伝えて、ぎりぎりで届くようにはしません。

③ 余る

余るのは、来場者数を強気に見積もったときと、売るものの数を配るものと同じ感覚で決めたときです。うちは在庫を持ちません。だから余った分は、そのままあなたの手元に残ります。

逃がし方は2つあります。ひとつは、層を分けること。全員に配るものを軽く小さくしておけば、読み違えたときの被害が小さくなります。もうひとつは、余ったときの出口を先に決めておくことです。後日の通販に回す、次の機会に配る、お礼として渡す。当日を過ぎてから考えると、置き場所の話になってしまいます。

そして、届いた箱を誰が開けるか。うちでは、検品の担当を発注前に決めると決めています。誰が、何を見るか。色を見る人、印刷の位置を見る人、数を数える人、傷や汚れを見る人。当日まで箱を開けないのがいちばん危ないので、届いたその日に開ける人まで含めて決めてください。

決まっているところだけ、聞かせてください

最初の相談で、うちが必ず聞くのは5つです。

  1. 何を配りたいか決まっていなければ、図1の3つのどれか、だけでもかまいません。
  2. いつ配るか配布日と、その前の搬入日。日付がまだ確定していなくても大丈夫です。
  3. 誰に配るか全員か、買った人か、関係者・当選者か。複数あるなら分けて教えてください。
  4. 何個くらいか来る人数のざっくりした見込みでかまいません。幅があるなら幅のままで。
  5. データはあるかロゴや絵が手元にあるのか、これから用意するのか。誰が作ったものかも合わせて。

この5つのうち、埋まっていない項目があってもかまいません。全部埋まっていたら相談する必要がないので、むしろ空欄がある状態で来てもらうほうが自然です。日付と、だいたいの人数。その2つだけでも話は始まります。何を決めておくと早いかだけ先に知りたい人は、そちらのページから読んでください。

個数も予算感も、まだ決まっていなくて大丈夫です。

「いつ・誰に配るか・何となくの人数」の3つだけ送ってください。その3つがあれば、こちらから順番に聞いていきます。

本文の内容は一般的な進め方をまとめたものです。実際の仕様・数量・納期は、ご相談内容に応じて個別にご案内します。

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はるる グッズ作戦室担当。配信者・タレントの周年グッズやライブ物販の相談を DMベースで受けています。