最初の一種類は、チェキと特典の隣に置くものとして選ぶ
物販台の上には、すでにチェキと特典があります。初めてのグッズは、その隣に置くものとして選びます。「かわいいものを作りたい」から入ると、チェキの代わりに買われるものができて、台の上で場所を取ったまま残ります。お客さんの財布は一つで、チェキに向かう流れを奪っても売上は増えません。
埋めるべき穴は二つあります。チェキを買った人が一緒に持ち帰るもの。そして、チェキの列に並ばない人が記念に手に取るものです。前者は撮り終えた流れのまま手が伸びる位置に置く役、後者はステージを見終えた人が何も持たずに帰るのを引き止める役です。
どちらを選ぶかで、作るものの性格が変わります。前者なら、鞄に入る軽さと、家でチェキと並べられることが効きます。後者なら、会場の外で使えること、他人に見える場所で持てることが効きます。
どちらを埋めるかは、自分たちの台を思い出せば決まります。チェキの列は伸びるのに台の前が静かなら、買った人がもう一つ持ち帰れるものが足りていません。チェキには並ばず会場に残る人や、終演後に声だけかけて帰る人が目につくなら、記念に持ち帰れるものが無いということです。両方当てはまるなら前者からです。すでに財布を出している人の隣のほうが、同じ数でも減りが早いです。
何個作るかは、動員数ではなくチェキの出方から決める
動員数に何かを掛けて出した数は、たいてい外れます。会場にいる人と、台で財布を出す人は別の集まりです。
見るのは、自分たちの過去のライブでチェキが何枚出たかです。チェキを買った人は、すでに「この子にお金を出す」と決めた人で、グッズを買う人と重なります。手元の売上メモか当日の集計から、直近の何本か分を並べてみてください。比べられるワンマンがまだ無ければ、対バンの回の数字をそのまま置いてかまいません。ワンマンは来る顔ぶれが自分たちのファンに寄るので、そこから上下します。置いた数字ごと相談してもらえれば、どちらに振れそうかは一緒に測れます。
基準は、並べたうちの一番低かった回に置くことをすすめています。一番良かった回に合わせると、あの回が当たりだった場合に差を全部抱えます。メンバーごとの偏りも目に入りますが、一種類目は人別に分けないほうが楽です。グループ名やロゴだけにしておけば、誰が何枚という話を本人たちに持ち出さずに数を決められます。人別に変えるのは、売れ方が読めるようになってからで間に合います。
数量には階段があって、ある数を超えると一個あたりが下がります。基準の数が段の手前なら一段上を考えますが、軸は「増えた分が次のライブでも売れるか」だけです。売れないなら、一個あたりが下がっても、使われないものに払った額が増えます。
ライブ当日から逆算して、何をいつまでに決めるか
納期は、ライブ当日から後ろ向きに並べると見えます。当日に間に合わせるには、デザイン確定、サンプル、本生産、検品、納品の五段階を順番に終わらせます。デザインが固まらないうちにサンプルは作れず、サンプルを見ないうちに本生産には入れません。
それぞれの間には余白が要ります。サンプルを見て色を変えたくなることもあり、箱を開けてから当日までに検品と値付けをする時間も必要です。隙間なく詰めた日程は、どこか一つがずれた瞬間に当日へ届きません。
実際に詰まるのは、ほぼデザイン確定です。ここが動くと、後ろの全部が同じだけずれます。メンバー全員の確認が揃わない、絵を描いてくれた人からのデータが来ない、ロゴの元データが見つからない——止まる理由はだいたいこのあたりで、ここが一番時間を食います。ただ、その締め切りを自分たちで出す必要はありません。ライブの日付を教えてもらえれば、デザインをいつまでに固めるかはこちらで逆算して置きます。
本発注の前には、必ず現物のサンプルを取ります。うちはここを省きません。既製のサンプルで済ませると、画面の色と手元の色が違うという一番戻せない失敗が、本生産の後に来ます。色味と手触りは、届いた現物でしか確認できません。ただし量産では、同じデータでも生産の回ごとに色味が多少ばらつきます。サンプルは「これで合っている」を決めるもので、保証書ではありません。
この五段階をどこまで預けられるのかは、グッズの発注を丸ごと任せるって、どういうこと?に書いています。
売れ残った分がどこへ行くかを、作る前に決めておく
作る前に決めるのがもう一つ、売れ残った分がどこへ行くかです。ちょうど売り切れることは、ほとんどありません。残る前提で選べば、残ったときの話が「失敗」ではなく「次に回す」で済みます。
仕分けは単純で、次のライブでも売れるものと、その日しか売れないものに分けます。
グループ名やロゴだけで、いつ買っても成立するものです。残った分は次の現場の台に戻せます。一種類目はこちらに寄せると退路があります。
日付、公演名、周年の表記が入った瞬間に、過ぎた分は在庫ではなく思い出の紙束になります。出すなら、残っても惜しくない数に抑えます。
記念の日付を入れたい気持ちは分かります。ただ、文字を一行足すだけで売れる期間がその日までに縮みます。入れるなら売り切れる見込みの数に留めて、残りはロゴだけの版にする手もあります。
そして、箱の置き場所です。誰の家に置くのか、オンラインで出すのか、次の現場まで運ぶのか。箱はたいてい誰か一人の部屋に来ます。その部屋に積める量が、作れる量の上限です。うちも在庫は持たない方針です。置き場所を決めてから数を決めると、決め方そのものが変わります。
前に作ったステッカーの残りのように、手元にあるものも同じ台に並べる前提で数えます。先に売り切るなら、新しい一種類目はその分だけ少なくて足ります。
発注の前に決めておく五つと、検品を誰がやるか
相談を始めるときに、埋まっていると早いものが五つあります。
- 何を品目は決まっていなくてかまいません。チェキの隣か、買わない人の分か、どちらを埋めるかだけです。
- いつライブの日付。動かせないので最初に教えてください。逆算の起点です。
- 誰にメンバーのファンに向けるのか、グループ全体のものにするのか。一種類目なら後者で十分です。
- 何個くらい過去のチェキの出方から置いた数。幅のある言い方でかまいません。
- データはあるかロゴや名前の元データが手元にあるか、これから作るか。無くても進めます。
五つとも埋まっている必要はありません。日付と「何を何個くらい」の二つだけでも相談は始められて、残りはこちらから順番に聞きます。決まっていなくていいことと、決まっていると早いことは相談するとき、決まっていなくていいことに分けて書きました。
納品の前に決めておくのは、検品をどこまでやるかです。人手が二人なら誰がやるかは決まりきっているので、問題は全部開けて見るのか抜き取りで済ませるのかです。初めての一回は、全部開けて見てください。自分たちの一種類目がどう上がってくるかを、まだ誰も知らないからです。あわせて、何をおかしい扱いにするかも発注の前に取り決めます。刷り位置のずれ、見本との色の違い、傷をどこまで見るか。線を先に引いておけば、箱を開けたときに「これは言っていいのか」で止まりません。
決めずにいると、当日の朝に会場で箱を開けて、初めて中身を見ることになります。ずれや色の違いが見つかっても、開始までにできることはほとんどありません。値付けと袋詰めも前の晩までに終わらせて、当日は並べるだけにします。チェキを回しながら会計と釣り銭が増えると、二人の台では列の進みが落ちます。
相談のときに書いてもらうのは、ライブの日付と、何を何個くらい出したいか。その二行で足ります。