物販に出るものは「その日しか売れない」と「次も売れる」に分かれます
物販台に並べるものを、値段の高いものから考えていくと、たいてい途中で止まります。先に分かれ目になるのは単価ではなく、本番の日を過ぎたあとも売れるかどうかです。ここを最初に分けておくと、あとから出てくる「何個作るか」が決まっていきます。
その日しか売れないもの
デザインに「2026.10.09」のような日付や「○周年」を入れると、その日を過ぎると売り先がなくなります。当日に売り切る前提の数だけを日付入りにして、残りは日付の入らないデザインで作る、という分け方をおすすめしています。会場で余った分を次の機会にも並べられるかどうかが、ここで決まります。
日付入りは、売り切れたときに一番きれいに終わります。そのかわり、終わったあとの置き場所に困るのも同じ並びです。
次も売れるもの
ロゴだけ、イラストだけ、名前だけというデザインは、公演が終わっても意味が変わりません。次の現場にそのまま持っていけますし、通販に回すこともできます。はじめての物販で数の読みが外れるのは当たり前なので、外れたときに逃げ道があるほうへ数を寄せておきます。
同じ品目でも、分かれます
Tシャツだから当日限り、ステッカーだから次も売れる、という分け方ではありません。同じステッカーでも日付を刷れば当日限りになりますし、同じTシャツでもロゴだけなら来年も着てもらえます。分かれ目は品目ではなく、デザインの中身です。
本番の日から逆算すると、今日は何をする日か
本番の日付が決まっているなら、決める順番も決まります。先に決まっていないと次へ進めないところがあるので、やりたい順ではなく、この順番で進めます。
この順番のなかで、日程をうかがってから必ず余白を足すのは2か所です。刷ったサンプルを見るところと、届いたものを検品するところです。どちらも「待つだけ」に見えるので、削られやすい場所でもあります。
サンプルを見るところ
本発注の前に、無地の既製サンプルではなく、お客様のロゴやデザインを実際に刷ったサンプルを確認してから進みます。工場からも、ロットによって色味に若干のばらつきが出ると説明を受けています。あわせて、誰が・何を・何個見るかという検品の担当も、発注前に決めておきます。
ひとりで回すなら、全部開けて数えるのか、色とサイズごとに何点かだけ開けるのかを、発注前に決めておきます。ここを飛ばすと、本番の朝に初めて現物を見ることになります。グッズ作戦室では、刷ったサンプルを見てから本発注へ進むところを、どの品目でも外しません。
届いたものを見るところ
荷物が着く日が物販の前日だと、数が足りなかったとき、傷んでいたときに、何もできません。だからグッズ作戦室では、日程には余白を足してお答えします。
図2の⑥にある、値付けと釣り銭、袋の用意も工程のひとつです。物が届いてから本番までのあいだに、台の上で手を動かす準備まで済ませておきます。
間に合わないと分かったとき
逆算してみて届かないと分かったら、品目を替える、数を減らす、本命は次の機会に出す、という切り替えになります。どこまで預けられて、どこからは自分で決める必要があるのかはグッズの発注を丸ごと任せるって、どういうこと?にまとめています。日付だけ送っていただければ、まず間に合うかどうかからお答えします。
何人が買うか。動員からの3段階の読み方
動員の数字は、作る数そのものではありません。来る人の数から2回絞って、ようやく作る数に近づきます。この絞り方を飛ばして動員の数だけを見ていると、たいてい作りすぎます。
はじめての場合
ご相談のときは、会場のキャパ、物販に使える時間、ワンマンか対バンか、告知からの反応をうかがって、その場で一緒に数を置きます。置いた数は動かせる前提なので、告知の反応を見てから増やす、減らすという相談を途中で入れていただいてかまいません。一律の割合をあてはめる形は取りません。②と③の落ち方は、会場の作りと物販の時間でまるで変わるからです。
あわせてうかがうのは、完売で終わらせたいのか、買いたい人を取りこぼしたくないのか、どちらを先に立てるかです。完売を先に立てるなら日付入りを少なめに、取りこぼしを嫌うなら日付の入らないデザインを厚めにします。同じ動員でも、この一言で内訳が変わります。
過去に売ったことがあるなら
前の現場で何を何個売ったかという記録があれば、それが一番確かな数字です。売り場の写真でも、終わったあとに数えたメモでもかまいません。動員が増えた分だけ素直に伸びるわけではないので、前回の売れた数を土台にして、会場と物販の時間の違いで上下させます。
売り場の都合で、作れる品目は変わります
品目は、作れるかどうかではなく、その売り場でさばけるかどうかで決まります。物販台の広さ、立てる人の数、列を止めてよいかどうかが、そのまま品目の制約になります。
この制約は、会場に聞けば先に分かります。下見の予定がなくても、押さえた時点で次の3つを送っておくと、品目の相談がそのまま進みます。
- 物販に使える時間を教えてください。開場前と終演後、それぞれでお願いします。
- 物販台の寸法と、台を置ける場所を教えてください。
- 物販の列をどこに作れるか、教えてください。
列が流れるか
通路が狭い会場では、1人にかけられる時間がとても短くなります。サイズを聞いて、在庫を見て、取り替える、という手順が入る品目は、そこで列が止まります。列が止まると会場の係の方から声がかかり、物販を早く閉じることにもなります。
袋詰めができるか
セット売りは、売る側から見ると単価が上がるので魅力的に見えます。ただ、袋に詰める手と、詰めたものを置く台が必要になります。セットにするなら、本番の前に詰め終えておける組み合わせだけにします。当日に組むセットは、たいてい当日に崩れます。
サイズ展開を持てるか
衣類はサイズごとに数を読む作業が増えます。どのサイズが何枚出るかは、動員の数字からは出てきません。そのうえ、余ったときに残るのは売れないサイズばかりになります。サイズを持たない布もの、たとえばタオルやトートに替えると、数を読む作業が一段減ります。
そもそも列ができるかどうかが読めないときは、寄る人が少なかったときに持ち帰りが小さくなる作り方にします。日付を入れず、サイズ展開を持たず、1種類に絞ります。そうしておけば、台の前が静かでも、その分はそのまま次に回せます。
最初の1種類は、何にするか
全部を一度にそろえる必要はありません。はじめての物販であれば、まず1種類をきちんと売り切るほうが、あとに残るものが多くなります。1種類に絞るときに見ているのは、次の3つです。
- 当日、手渡しだけで終わるものです。サイズも組み立ても説明も要りません。
- サイズを選ばなくてよいものです。数を読む作業が一段減り、余り方も読めます。
- 日付を入れなくても成立するものです。余った分を次の現場に持っていけます。
逆に、最初の1種類を日付入りの衣類にすると、数の読みとサイズの読みを同時に当てる必要が出てきます。はじめての現場で当てにいく勝負ではありません。
在庫は持たず、無地の商品にお客様のロゴ・デザインを入れるものだけを扱っています(既製デザイン品や他社のキャラクターは扱いません)。ですから、最後にお渡しするのは「あなたのデザインが乗ったもの」です。
では、そのデザインは誰が用意するのでしょうか。ロゴもイラストも手元にない状態で、ご相談いただいて大丈夫です。いま手元にあるものを見せていただいて、どこまでこちらで刷れる形に整えるか、どこからはご自身や絵を描く方にお願いするかを、相談のなかで決めます。文字だけで成立する品目なら、持ち込むものがなくても進められます。先に用意が要るのは、データではなく本番の日付だけです。
品目ごとの向き不向きや、はじめの1種類の選び方をもう少し細かく見たいときは、地下アイドルの物販、はじめてのグッズの作り方にも書いています。缶バッジを1種類目に置くかどうかは、缶バッジをオリジナルで作る|サイズの選び方と、何種類にするかにサイズと売り方の分岐を並べました。
売れ残りは、持って帰ったあとに逃がします
余りは出ます。出ないように当てるのではなく、出たときの逃がし先を先に決めておきます。逃がし先がある品目なら、少し多めに作る判断もできます。
逃がし方は、だいたい4つです。次の現場に持っていくか、通販の置き場に並べるか、ノベルティとして配るか、事務所やお店で使います。ひとりで回しているなら、前の2つだけ考えておけば足ります。通販に並べるなら、梱包と発送をする人と、送る費用の持ち方を決めておきます。
ここで効いてくるのが、第1節の分け方です。公演が終わった日付のものは、どの逃がし先にも乗りません。日付入りは当日に売り切る数だけ、というところに戻ってきます。
売るのではなく配る場面なら、余った日付なしの分をそのまま使えます。周年や生誕のように渡すことが主になる場面は、作る数の決め方も変わるので、周年・生誕の場面として別にまとめています。
決まっているところだけ、聞かせてください
全部を決めてからご相談いただく必要はありません。最初にうかがうのは、次の5つだけです。
- 何を:作りたい品目のイメージです。決まっていなければ「決まっていない」で大丈夫です。
- いつ:本番の日付です。ここが分かると、お答えできることが一気に増えます。
- 誰に:売る相手です。物販で売るのか、来てくれた方に配るのかをうかがいます。
- 何個くらい:想定動員でもかまいません。数字がなければ会場名でも足ります。
- データはあるか:ロゴやイラストが手元にあるか、これから作るのかをうかがいます。
この5つのなかで、答えられるものだけ送っていただければ、足りないところはこちらから順に聞いていきます。
見積もりに並ぶのは、この項目です
お返しする見積もりに何が書かれているのかを、先に出しておきます。中身が分からないまま数字だけ見ても、高いのか安いのか判断できないからです。
- 数量ごとの単価(何個作るかで、ひとつあたりが動きます)
- 版代・型代(刷る版や型を作る費用です。同じデザインなら次に活きることがあります)
- 送料(届け先と重さで動きます)
- サンプル代(本発注の前に刷って確認する分です)
- 納期(図2の余白を含めた日程でお答えします)
単価はひとつの数字ではなく、いくつかの数量で並べてお出しします。並べて見ていただくと、どのあたりが自分の現場に合うかが先に分かります。
お約束できること
品目と数と日程の3つが書かれていれば、その返信で金額と、間に合うかどうかを返します。やりとりを何往復もしてから「実は間に合いませんでした」になるのが、この場面で一番困る形だからです。
3つそろっていなくてもかまいません。日付だけでも「間に合うか」からお答えします。日付が分かれば、図2の順番を当てはめて、今日が決める日なのか、品目を置き換える相談から入る日なのかが見えます。
そのうえで、判断が要ることについては、こちらで勝手に決めません。権利に関わるデザイン、会場のルール、他の方の作品や名前を使う話は、確認してからお返しします。断定してお答えして、あとで引っくり返すほうが、よほど迷惑をかけてしまいます。