先に決めるのは、同じ形を何回作るかです
ラバーキーホルダーは、柔らかいゴムの材料を金型に流し込んで固めます。形ごとに金型を起こすので、輪郭を変えると型から作り直しになります。
ここから2つのことが決まります。ひとつは、売れた分を見てから絵柄を足す、ができません。缶バッジやステッカーやアクリルは版も型も要らないので、1種類だけ出して売れてから足せますが、ラバーは最初に決めた形と数で止まります。
もうひとつは、一度型ができたあとは、同じ形を何度でも作れます。来年も同じ絵柄で出すつもりなら、型が残っているぶん2回目が軽くなります。1回で終わる物より、定番として置き続ける物に向いた品目です。
はじめてのグッズで、売れる数が読めないなら、ここはアクリルで試してから来てください。アクリルキーホルダーなら1個から作れます。鞄に付ける物という点は同じで、違うのは落としたときです。アクリルは割れますが、ラバーは割れません。買う側がラバーを選ぶ理由はここにあります。
大きさと厚みには枠があります
大きさは、長いほうの辺が80mm以内が基本の枠です。これを超えると別の扱いになります。下限を50mmとしているところもあります。
厚みは3mmか5mmから選ぶところと、4mmで固定のところがあります。5mmにすると断面に厚みが出て、立体の形にしたときの見え方が変わります。
- 平面
- 表も裏も平らで、色を並べた形です。いちばん作りやすく、文字やロゴが読めます。
- 凹凸
- 表面に段差を付けて、色の境目に高さを出します。手に取ったときの質感が変わります。
- 立体
- 形そのものを立体に起こします。キャラクターの体に厚みが出ますが、型の作りが一番重くなります。
裏面は、何も入れない形と、1色で刷る形と、カラーで刷る形があります。裏面の刷りは位置が多少ずれます。裏に日付や名前を入れたいときは、端に寄せすぎない配置にしてください。
材料は柔らかい塩ビです。子どもの手に渡る物に使われるため、フタル酸エステルを使わない材料を選べるところがあります。会場で配る物なら、ここを指定しておくほうが後で聞かれません。
色は番号で指定して、ぼかしは出ません
色は、絵柄の上に塗るのではなく、色の付いた材料を型の中で並べて作ります。だから指定の仕方が印刷と違います。PANTONEかDICの番号で、1色ずつ指定します。
そしてグラデーションとぼかしは出ません。濃淡で立体感を出した絵は、単色のベタ塗りに置き換えることになります。影を1段暗い色のベタに割る、という作り直しが入ります。
色数は、何色までが同じ扱いになるかが頼む先で変わります。使いたい色の数をそのまま言ってもらえれば、その数で収まる形から出します。
隣り合う色の間には、溝が要ります
ラバーで一番つまずくのがここです。平面の形では、隣り合う色が違うとき、その間に溝を入れて区切ります。溝が無いと色が混ざるので、絵柄の線をそのまま色の境目にはできません。
結果として、線が細い絵柄と、小さい文字は向きません。髪の毛を1本ずつ描いた絵、細いハイライト、小さい文字が並んだロゴは、溝が入らずに消えます。寸法の目安はこうなります。
- 盛り上げる部分は0.5mm以上これより細い線は、型に彫れません。髪や模様の線は太く描き直します。
- 盛り上げ同士の間隔は0.3mm以上線と線が近すぎると、間が埋まって1本に見えます。
- 下の色を見せたい溝は0.65mm以上間から土台の色を見せたいときは、もう少し広く取ります。
1mm以下の塗りや線は作れないという決まりのところもあります。細い線を太くする直しは絵柄の印象を変えるので、絵師さんに描いてもらう前に、ラバーにすると決めておいてください。描き上がってから直すと、描いた人にもう一度お願いすることになります。
こちらで絵柄を見て、どこを太くすれば形が残るかをお伝えできます。絵を描く人に渡す指示の形で出すので、そのまま転送してもらえます。
光らせる、ラメを入れるという選び方があります
ラバーは材料そのものに混ぜる形で、見え方を変えられます。印刷では出せない部分です。
- 蓄光
- 日光に20〜30分当てると、1時間ほど光ります。発光する色は緑とオレンジです。暗い会場で光るので、ライブの物販で効きます。
- 蛍光
- オレンジか緑です。明るい場所でも色が目立ちます。
- ラメ
- 1mm四方くらいのラメを混ぜた半透明の材料です。土台の層に入れると、光の角度で表情が変わります。
- 金・銀
- 部分的に入れられます。文字やワンポイントに向きます。
どれも写真では伝わりません。蓄光は現物を暗いところで見せないと分からないので、会場では見本を1つ、台の下か箱の中で光らせておくのが手です。
金具は、どこに付けられるかで選びます
穴は好きな位置に開けられます。使うのは頼む先のテンプレートにある穴で、大きさは変えません。輪郭のどこに穴を置くかで、吊ったときの向きが決まります。ここはアクリルキーホルダーと同じ考え方です。
金具は、キーリングにチェーンを付けた形が標準です。ほかにカニカン、ナスカン、ボールチェーン、カラビナ、ストラップがあります。鞄のどこに付けてほしいかで選びます。リングは鍵につなぐ形、カニカンとナスカンは鞄の金具に引っかける形です。
色違いを出すと、在庫が色の数だけ割れます
同じ形で色だけ変えた別バージョンを作れますが、ここに落とし穴があります。色違いの1種類ごとに、別の最小の数が立ちます。2色にすると、どちらの色も一定の数を作ることになるので、合計は増えます。
買う側は、同じ形の色違いが2つあると片方しか買いません。並べたぶんだけ売れる数が増える品目ではないので、はじめは1色にして、形を増やすか1色のまま数を厚く持つほうが残りません。
中身を見せずに売るやり方は、ラバーでは成り立ちにくいです。缶バッジのように交換が起きるには、その場に交換する相手が要ります。ラバーは缶バッジより買う人の数が少ないので、交換の相手が見つかりません。1種類ずつ選んで買える形にしてください。
台に出すときは、金具を付けて鞄かベルトに付けた状態を見せます。袋に入れて平らに積むと、厚みと柔らかさが伝わりません。手に取れる見本を1つ出しておくと、柔らかさで決める人がいます。
型が残るので、日付は入れないほうが得です
ラバーの型は、形を変えなければ次も使えます。ここに年号や「◯周年」を入れてしまうと、その型がその年だけの物になって、作り直しからやり直すことになります。
日付は台紙に刷ってください。本体には日付の入らない絵柄を置きます。こうしておけば、残った分を次の現場にそのまま持っていけますし、2回目は型から作らずに済みます。
余った分は、通販のおまけにも回せます。割れないので、封筒に入れて送る形も取れます。
相手が変わると、先に決めることが変わります
事務所や会社の名前で出すなら、形と厚み、色数、裏面に何を入れるかを見積書の前に決めてください。型の分は一度だけ立つ欄なので、同じ形で2回目を出すときは、その欄が立ちません。続けて売る定番を作るなら、相性がいい品目です。社内で数を削られる可能性が高い案件なら、型の要らない品目に寄せておくほうが安全です。詳しくは事務所・会社の名前でグッズを発注するに書いています。
本人が自分で作るなら、売れる数が読めてからにしてください。読めないうちは版も型も要らない品目から始めるのが順番です。本人(個人)でグッズを作るに、どの品目が後から足せるかを書いています。
有志の企画なら、名前と絵を使う許諾を先に取ります。集金してから発注する形だと、型を起こす分の順番が後ろにずれるので、作ると決めた時点で言ってもらえると組み方が変わります。
相談するときに、こちらが先にうかがう5つ
形も色も、まだ決まっていなくて大丈夫です。絵が1枚あれば、ラバーで作れる形かどうかはこちらで判断できます。グッズ作戦室では、本生産の前にサンプルで色と形を現物で確かめる工程を飛ばしません。型を使う品目なので、ここを飛ばすと直しが型に戻ります。
- 絵柄があるか、まだ無いか無いうちに言ってもらえれば、ラバー向きの描き方で頼めます。
- 使いたい色の数色数で刻みが変わります。ぼかしのある絵なら置き換え方も出します。
- 渡す日と場所会場で売るのか通販かで、金具と袋が変わります。
- 来年も同じ形で出すか続けるつもりなら、日付を入れない形で組みます。
- 光らせたいか蓄光にするなら、材料の指定が先に入ります。
送る一通目は、こう書けば足ります。「はじめまして。来年の周年でラバーキーホルダーを作りたいです。立ち絵はありますが、線が細いかもしれません。個数はまだ決めていません。金額と、この絵で作れるかを知りたいです。」