大きさは、掲げる物か、拭く物かで分かれます
同じ「タオル」でも、寸法が違うと使われ方が変わります。どちらを作るかで、絵柄の形も売り場での出し方も変わるので、ここを先に決めてください。
- フェイスタオル
- 約34×84〜86cm。顔と手を拭く定番の大きさです。長辺は厚さや作りで数cm動きます。洗面所で毎日使われるので、買った人の手元に一番長く残ります。
- ロングフェイス
- 34×110cm。幅はフェイスのまま、長さがマフラータオルと同じになります。首にかけられて、なおかつ拭ける大きさです。
- スポーツタオル
- 40×110cm。幅が広いので、絵柄を大きく入れられます。首にかけたときの存在感はこれが一番あります。
- マフラータオル
- 20×110cm。細長いので掲げる物です。拭く用途では使われません。マフラータオルの決め方は別のページにあります。
分け方は単純です。客席で掲げてもらう物ならマフラータオル、家で使ってもらう物ならフェイスタオルです。この2つは用途が重ならないので、同じ日に両方出しても売り場で食い合いません。どちらも出すなら、絵柄を同じにせず、掲げる物は遠くから読める文字、使う物は手元で見る絵柄にすると選ぶ理由が分かれます。
厚さは「匁」で言います。1枚の重さではありません
タオルの厚さは匁(もんめ)という単位で表されます。ここを取り違えると見積書を読み違えるので、先に書いておきます。200匁という数字は、1枚の重さではなく1ダース(12枚)あたりの総重量です。1匁は3.75gなので、200匁は750g、1枚あたりおよそ62.5gという計算になります。同じ考え方で320匁なら1枚あたりおよそ93.75gです。
- 180〜200匁
- 薄手です。乾きが速く、たくさん配る物や粗品に使われてきた厚さです。かさばらないので、ほかのグッズと一緒に袋に入れても膨らみません。
- 200〜280匁
- 標準です。家庭で使うタオルとして違和感のない厚さで、記念品や物販で選ばれるのはこの幅です。迷ったらここから見ます。
- 320匁前後
- 厚手です。手に持ったときの重さで良い物だと分かる厚さで、長く使われます。そのぶん畳んだときに厚みが出るので、箱と袋が一段大きくなります。
ただし、匁は糸の量の目安にすぎません。同じ匁でも、糸の太さと織り方と加工で厚みと柔らかさは変わります。数字だけで決めずに、現物を触って決めてください。この1点だけは、画面の情報では決められません。
表面は、パイルかシャーリングか
ここがフェイスタオルで一番大きい決めごとです。絵柄の出方と使い心地が、同じ1枚の上で引っ張り合います。
表面のループがそのまま残っています。水を絡め取るような吸い方をして、拭いたときの満足感はこちらが上です。そのかわりループの凹凸があるので、細い線や小さい文字は輪郭が沈みます。太い文字とベタ塗りに向きます。
刷る面のループを刈って平らにしています。毛並みがそろうので絵柄の線が残り、写真や細かい柄も載ります。そのかわり拭いたときの吸い方はパイルに一歩譲ります。全面に絵柄を敷く作りはこちらが対応素材です。
決め方は、買った人が何をするかで決まります。絵柄を見せたいならシャーリング、使ってもらいたいならパイルです。両面のうち刷る面だけをシャーリングにして裏をパイルで残す作りもあるので、どちらも捨てたくない場合は、その形が取れるかを先にうかがいます。
刷り方は3つ、色数と素材の制限が違います
織りで柄を出す作り(ジャガード)は、色数と線幅の決まりがプリントとまるで違うので、マフラータオルのページにまとめてあります。ここではプリントの3つを並べます。
- 顔料プリント
- インクを表面に定着させる刷り方です。柄がはっきり出て、細かい表現に向きます。そのかわりインクが乗るぶん、風合いは染料に一歩譲ります。
- 染料プリント
- 蒸しと洗いの工程を通すので、インクの手ざわりが残りにくく、肌ざわりが良くなります。そのかわり色の再現は難しく、指定した色とずれることがあります。枚数がある程度必要です。
- 昇華転写
- 版を作らずに全面をフルカラーで刷れて、色が褪せずインクが割れません。ただし乗るのはポリエステルなどの化繊で、綿には使えません。吸水は綿に譲ります。刷る面だけ化繊で裏を綿のパイルにした生地もあります。
色の数え方には、ほかの品目と違うところが1つあります。白はタオル地の色をそのまま使うので、色数に含めません。白いタオルに白い文字は出ないということでもあります。白く見せたい部分は、生地の白を残す形でデザインします。最大12色まで受ける扱いがあり、色は約3,000色の中から番号で指定します。「だいたいこの赤」では決まらないので、絵柄を渡す段階で番号を決めておくと、やり直しが起きません。
刷る範囲は3段あります。枠の中だけに刷る形、中央の帯をベタで敷く形、全面をベタで敷く形です。全面に敷くのはシャーリングとガーゼが対応素材で、パイルでは選べない扱いがあります。つまり「全面に写真を敷いたパイルのタオル」は、基本的には作れません。全面に敷きたいと決めているなら、表面はシャーリングで確定します。
何枚から作れるか
最小の枚数とその刻みは、頼む先と刷り方で変わるので、ここには数字を置きません。順番だけ書きます。版を作らない昇華転写が一番少ない枚数から作れて、染料プリントが一番枚数を要します。顔料プリントはその間です。厚手の匁は薄手より下限が上がる扱いもあるので、少ない枚数で試したいなら、匁を上げすぎないほうが選べる幅が広がります。
小さいと思う数のまま聞いてもらって構いません。その数で作れる刷り方から逆に提案します。
版が立つのは、顔料と染料だけです
顔料プリントと染料プリントは、色ごとに版を作ります。色を増やすと版が増えるので、見積書の中で一度だけかかる欄が膨らみます。昇華転写は版を作りません。
この違いは、2回目に効きます。同じ仕様で作り直すとき、版が保管されていれば版の費用は立ちません。保管の期間は決まっていて、2年という扱いをしているところがあります。年に一度の物販で同じ絵柄を出し続けるなら、1回目に版を作って2回目以降はその版で刷るほうが形が崩れません。逆に、売れるか読めないうちに10種類の絵柄を作ると、その色数ぶんの版が全部1回ずつしか使われずに終わります。
読めないうちは、版の要らない昇華転写で試す手があります。ただし生地が化繊になるので、吸水と手ざわりが綿と変わります。試すために刷り方を変えると、本番で作る物とは別の物になります。手ざわりを確かめたいなら、試すのは絵柄ではなく生地のほうです。
物販では、1種類に枚数を全部寄せられます
タオルにはサイズ展開がありません。Tシャツやパーカーのように色とサイズで品目が掛け算にならないので、読んだ枚数を1種類に全部寄せられます。ここがアパレルとの一番大きな差で、売れ残りの形が読みやすくなる理由です。
色違いで2種類に割ると、せっかく寄せられる枚数が半分ずつに分かれます。在庫も台の上の場所も2つ要るようになるので、1種類目は色を1つに決めてください。
売り場では畳んで積むことになります。このとき見えるのは中央の帯だけです(図1)。名前とロゴは中央に入れてください。端に寄せた絵柄は、畳むと内側に隠れて台の上から見えません。絵柄を端まで使うなら、1枚だけ広げて吊る場所を作ってください。壁や台の後ろに掛けられるかは、会場に先に聞いておく必要があります。
手に取った人が気にするのは、絵柄よりも厚みです。1枚を袋から出して触れる見本を台に置いてください。匁を見積書で選んでいても、買う人はその数字を知りません。
年号を入れると、使うのをやめる理由になります
フェイスタオルは洗面所で毎日使われる物です。だから「2026」や「◯周年」を本体に刷ると、翌年にはその日付が目に入り続ける物になります。使い続けてもらえる品目なのに、自分で期限を書き込むことになります。
日付と回数は、下げ札か袋の紙に刷ってください。それなら記念としては残り、本体は使えます。本体に日付を入れた1種類をあえて作るなら、その1種類は当日その日に売り切る数だけにします。
年号を入れなければ、余った分は次の現場でもそのまま出せます。畳めば平たく積めるので、箱は厚手でも持ち運べる大きさに収まります。マフラータオルより短いぶん、袋も小さくて済みます。差し入れや手土産に回す行き先もあります。
相手ごとに、先に決めることが違います
事務所・会社の名前で出すなら、匁、表面の作り(パイルかシャーリングか)、刷り方と色数の3つを見積書の前に決めてください。色の数がそのまま版の数になるので、社内で数が削られる可能性がある案件は、色数を先に絞っておくほうが形が崩れません。
会場(ライブハウス・劇場)で定番として置くなら、年号を入れない標準の匁が一番長く売れます。版が残っていれば同じ物を足せるので、売れた分だけ作り直す形が取れます。
本人(個人)で作るなら、畳んで積める品目なので保管に向きます。トートバッグやぬいぐるみのように箱が膨らまないので、自宅で受け取る前提でも置き場所に困りません。ファン有志の企画なら、名前の表記と絵の許諾を先に取ってください。確認が取れているかだけうかがいます。
相談するときに、こちらが先にうかがう5つ
掲げる物か使う物か、絵柄に細い線や写真があるか、渡す日、箱を受け取れる場所、そして絵柄の種類です。全部埋まっていなくて構いません。絵柄を1枚見せてもらえれば、パイルで出るか、シャーリングにしないと沈むかは、そこで判断できます。渡す日だけでも、間に合う刷り方からお答えします。
グッズ作戦室では、タオルは製作に入る前に一度見本をお見せします。画面で見ている色と、糸とインクに出た色は別物で、厚みと手ざわりは触らないと決められないからです。